鏡で自分の口の中を見たときや、大きく口を開けた写真を見たとき、銀歯が目立って気になったことはありませんか?
虫歯治療の際に、銀歯と白い詰め物のどちらにするか悩む人もいるでしょう。
最近では、銀歯を外し、目立たない白い詰め物に変更する人も少なくありません。
この記事では、銀歯を外したときの影響や対応について解説します。
銀歯を外すリスクはある?
銀歯を外すことにリスクは少ないと考えられていますが、むしろ、銀歯を長年放置した方がリスクは高くなることがあります。
銀歯は保険が適用になるため、費用を抑えられるメリットがありますが、見た目にコンプレックスを抱える人も少なくありません。
銀歯を外す際は、外したときの影響について理解しておきましょう。
銀歯を外すこと自体にリスクはない
銀歯には寿命があります。口内環境によって異なりますが、平均寿命は5~7年です。
寿命を迎えた銀歯は、経年劣化によって銀歯と歯の間に隙間ができやすくなります。その結果、以下のようなトラブルが起こるかもしれません。
- 銀歯が外れやすくなる
- 虫歯、歯周病を発症しやすくなる
- 金属イオンが溶け出し、歯茎が黒く変色する(メタルタトゥー)
- 口の中で銀歯が錆び、口臭の原因になる
- 金属アレルギーによる健康被害が起こる
このようなリスクを避けるためには、銀歯の定期的な交換が必要です。
また、白い歯に変更する選択肢もあるため、歯科医師に相談するとよいでしょう。
歯を削る量が増える場合がある
銀歯を外した後の対応として、以下の選択肢があります。
- 新しく銀歯を作り直して入れる
- 保険診療でできる白い詰め物を入れる
- 自費診療でセラミックの詰め物や被せ物を作る
銀歯を外した部分が虫歯になっていた場合、新しい詰め物を入れる前に治療が必要になるため、さらに歯を削る量が増えることになるでしょう。
セラミック治療では、歯の強度を高めるために厚みが必要になるため、保険診療に比べて歯を削る量が多くなります。歯を削る量はセラミックの種類によって異なりますが、追加で歯を削ることはデメリットといえるでしょう。
一時的な知覚過敏が生じることがある
古くなった銀歯を外し、新しい銀歯への交換やセラミック治療を行った直後は、一時的に神経が敏感になります。そのため、熱いものや冷たいものを口にした際、治療して間もない歯がしみたり痛みを感じたりすることがあります。
銀歯の材料である金銀パラジウム合金は、熱が伝わりやすい性質があるため、熱いものが銀歯に接触することで歯がしみるケースも少なくありません。
また、治療の直後は噛み合わせに違和感を覚えることがあります。この違和感が原因で歯に負担がかかり、知覚過敏の症状が出ることがあります。
時間の経過とともに、過敏な状態は落ち着いてくるでしょう。
保険適用は範囲が限定されている
銀歯を外した後の治療方法では、保険が適用になる保険診療と保険が適用されない自費診療の2種類があります。
保険診療でできる治療には、銀歯のほかに白い歯にする方法があります。
以下のように、白い歯で治療する場合は、治療方法によって保険適用範囲に制限があるため、歯科医師と相談するとよいでしょう。
- コンポジットレジン:すべての歯が保険適用になる
- レジン前装冠:前歯の上下6本(左右の犬歯間の歯)のみ保険適用になる
- CAD/CAM冠:すべての歯が保険適用になるが、条件を満たす必要がある
銀歯をそのままにして交換しないリスク
口内環境にもよりますが、銀歯の寿命は平均で5~7年です。
銀歯は時間の経過とともに傷がつき、変形するため、銀歯と歯の間に隙間ができてしまいます。その結果、虫歯や歯周病を発症しやすくなるなど、さまざまなリスクを生じることがあるのです。そのため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
傷がつきやすい
銀歯は強度が高く、強い力が加わる奥歯の治療に使用されますが、傷がつきやすい素材でもあります。そのため、毎日使用しているうちに表面に細かな傷がつき、傷には汚れや細菌が付着しやすくなります。
傷に入り込んだ汚れや細菌が、虫歯や歯周病、口臭の原因になることも少なくありません。
銀歯の周囲は汚れがたまりやすく、蓄積した汚れや細菌は歯磨きだけでは取り除くことが難しくなります。
歯磨きのほかにも、歯間ブラシやフロスを使用して丁寧に歯のお手入れをしたり、定期的に歯科医院でクリーニングを受けたりすることが大切です。
変形しやすい
銀歯は、以下の理由によって変形し、銀歯と歯の間に隙間ができるというデメリットがあります。
- セメントの劣化:銀歯と歯の隙間を埋めているセメントが溶け出す
- 金属の劣化:銀歯が金属イオンとして溶け出すことがある
- 噛み合わせの悪さや歯ぎしりによる劣化:歯に負担がかかる噛み合わせや歯ぎしりなどの悪習慣によって、セメントが砕けることがある
変形すると、変形した部分から虫歯菌が侵入し、再び虫歯を発症する「二次カリエス(二次虫歯)」を引き起こすことも少なくありません。
また、変形は噛み合わせの悪化にもつながるため、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けるようにしましょう。
再発した虫歯に気づきにくい
銀歯の下で虫歯が再発した場合、外見ではわかりにくいことがあります。
痛みやしみるといった症状が出てから歯科医院を受診し、発見することがほとんどでしょう。
ただし、過去の虫歯治療で神経を抜いているケースでは、痛みをほとんど感じないことがあります。そのため、気づかないうちに銀歯の下で虫歯が進行してしまうケースがあります。
早期発見や早期治療ができず、重度の虫歯に進行した場合は抜歯が必要になるかもしれません。最初の治療で残した歯を抜かなければならないのはショックですよね。
虫歯の再発を防ぐためにも、毎日の歯磨きと定期検診を怠らないようにしましょう。
銀歯を白い歯(セラミック)にするメリット
銀歯は保険が適用になるため、患者の費用負担を抑えられるメリットがありますが、見た目の問題や二次カリエスなどのデメリットがあります。
一方、セラミックは自費診療のため費用はかかりますが、審美性や機能性に優れ、金属アレルギーが心配な人でも治療できるなど、多くのメリットがあります。
見た目がより自然になる
セラミック治療は、患者に合わせて歯の大きさや形、色などを調整できるため、自然な歯に仕上がります。
ただし、見た目が不自然になるケースもあるため、セラミック治療の際は以下のポイントを押さえておきましょう。
日常生活に近い光のもとで色を確認
自分の歯の色と違う色を選択しないよう、色を確認する際は明るさに注意する。
経年劣化しにくい材料を選択
経年劣化による影響を避けるために、費用がかかっても変色しにくい材料を選択する。
技術力、実績がある歯科医院を選択
高い審美性が求められるため、歯科医師や歯科技工士の技術力を重視する。
二次虫歯が発生しにくい
以下の理由から、セラミックは二次虫歯を発症しにくいメリットがあります。
ただし、二次虫歯の予防には毎日の口腔ケアが不可欠です。また、セラミックの種類によって二次虫歯の予防効果は異なります。
歯垢(プラーク)が付着しにくい
セラミックは陶器であるため、表面が滑らかで歯垢が付着しにくいです。歯垢には虫歯菌が含まれているため、付着しにくいことで二次虫歯を発症のリスクを軽減します。
隙間が生じにくい
セラミックでは、歯に適合する詰め物や被せ物を作成できるため、隙間ができにくいです。また、接着力が強く、接着剤が剥がれて細菌が侵入するのを防ぎ、二次虫歯を発症しにくい。
歯周病のリスクが低い
歯周病は、歯垢の中や歯垢が硬くなってできた歯石の中で繁殖した細菌が原因で発症します。
銀歯と違い、セラミックは表面が滑らかで歯垢が蓄積しにくく、歯茎の炎症や歯周ポケットの形成を防ぐ効果が期待できます。
セラミック治療をすることで、口腔内の細菌の繁殖防止につながるため、歯周病のリスクを軽減できるでしょう。
ただし、セラミック治療をした後もプラークコントロールは必要です。
セラミックの歯を長持ちさせ、美しい状態を保つためにも、定期的にクリーニングを受けるようにしましょう。
汚れや臭いが付きにくい
セラミックは表面が滑らかで汚れがつきにくいため、臭いの発生も抑えられます。
銀歯に比べて、汚れが付着したとしても落ちやすいため、二次虫歯や歯周病の予防効果も期待できるでしょう。
ただし、汚れがつきにくいからといって油断はできません。
セラミック自体が虫歯にならなくても、セラミックの被せ物と歯の隙間に汚れがたまり、虫歯や口臭の原因になることがあります。表面が美しいセラミックの中で虫歯を発症した場合、自分で気づくのは難しいでしょう。
このようなトラブルを防ぐためにも、セラミック治療後のメンテナンスは非常に大切です。
金属アレルギーのリスクが減る
セラミックは非金属の素材であるため、金属アレルギーの人でも安心して治療できます。
ただし、セラミックの種類の一つであるメタルボンドは、内側が金属で外側がセラミックの二層構造になっています。金属を含むため耐久性は高いですが、金属アレルギーが心配な人はメタルボンドの使用は避けた方がよいでしょう。
非金属のセラミックの種類には、以下のものがあります。
- オールセラミック
- ポーセレン
- ジルコニア
- e-max(イーマックス)
- ハイブリッドセラミック
このように種類が豊富で費用も異なるため、歯科医師と相談して自分に合ったセラミックを選択しましょう。
歯茎が黒ずみにくい
銀歯は、金銀パラジウム合金といった金属材料で作られています。時間の経過とともに金属イオンとして溶け出し、歯茎が黒く着色する「メタルタトゥー」を生じることがあります。
一方、非金属のセラミックの場合は、歯茎が着色する心配はありません。しかし、内側に金属を含むメタルボンドを使用した場合や、金属の土台を入れて治療した場合は、歯茎が着色してしまう可能性があります。
金属の素材を使用している場合は、素材を変更することで歯茎の黒ずみを予防できるため、検討するとよいでしょう。
銀歯を白い歯(セラミック)にするデメリット
セラミック治療には多くのメリットがありますが、銀歯に比べて強度が低いため、強い衝撃による破損の心配があります。
また、セラミック治療を検討する際には、銀歯よりも歯を削る量が多くなることや、自費診療であるため費用が高額になる点もデメリットです。
セラミックが割れることがある
セラミックは耐久性に優れていますが、強い衝撃が加わったときに陶器のように割れることがあります。
セラミックが割れる原因として、以下のことが挙げられます。
- 歯ぎしり、食いしばり
- 噛み合わせが悪い
- 口元をぶつけて衝撃を受ける
- 硬いものを食べる
割れてしまった際は、速やかに歯科医院を受診しましょう。
セラミック治療のほとんどは、保証期間があります。修理や作り直しに関する保証内容は歯科医院によって異なるため、治療の前に確認しておきましょう。
また、セラミックの種類によって強度が異なるため、破損が心配な場合は素材を変更することも対処法の一つです。
銀歯に比べて費用が高くなる
セラミック治療は、基本的に自費診療のため全額自己負担になります。
保険が適用される銀歯よりも費用が高額になるため、誰でも気軽にできる治療方法ではないかもしれません。
しかし、セラミックは銀歯より耐久性が高く、長期にわたって使用できます。金属アレルギーでも治療可能であり、二次カリエスや変色も起こりにくいため、多くのメリットや将来性を考慮すると魅力的な選択肢といえるでしょう。
費用は、歯科医院やセラミックの種類によって異なります。
セラミック治療を検討する際は、歯科医師や歯科技工士の技術力も調べたうえで歯科医院を選択しましょう。
銀歯を保険適用で白くする方法
見た目の問題から「銀歯を白い歯に変えたい」と考える人は少なくありません。
銀歯を白くする方法には、保険診療でできる治療と自費診療でできる治療があります。
ここでは、自費診療よりも気軽にできる保険診療の方法について、メリットやデメリットも含めて解説します。
コンポジットレジン
コンポジットレジンとは、白いプラスチック素材でできた詰め物です。 ペースト状の白い樹脂を歯に詰めて、専用の光で固める治療法です。
【メリット】
・すべての歯が保険適用になるため、費用を抑えられる。
・直接歯に詰めるため、歯の型取りが不要。
・治療期間が短いため、患者の負担が少ない。
・歯を削る量を最小限に抑えられる。
・色調が天然歯に近い。
・金属アレルギーでも治療可能。
【デメリット】
・時間が経過すると変色することがある。
・強度が高くないため、重度の虫歯や強い力が加わる奥歯には不向き。
レジン前装冠
レジン前装冠とは、金属でできた被せ物に外から見える表面部分にのみプラスチック素材のレジンを貼りつけた差し歯です。
【メリット】
・色が白いため、審美性に優れている。
・内側は金属のため、強度が高い。
・目立ちやすい前歯は保険適用範囲であるため、費用を抑えられる。
【デメリット】
・保険適用になる歯は、目立ちやすい前歯の上下6本(左右の犬歯間の歯)のみ。
・金属を含むため、金属アレルギーの人は治療できない可能性がある。
・汚れが付着しやすく、時間が経過すると変色することがある。
CAD/CAM冠
CAD/CAM冠とは、レジンとセラミックを混合したハイブリットレジン素材の被せ物です。コンピューターで設計した歯型のデータをもとに、機械で削って作成されます。
【メリット】
・歯によって条件を満たす必要があるが、すべての歯が保険適用になる。
・色が白いため、審美性に優れている。
・金属アレルギーでも可能。
・硬さが天然歯に近い。
・プラスチック素材の歯に比べ、汚れが付着しにくい。
【デメリット】
・金属や自費診療のセラミックより強度が低いため、歯ぎしりなどで割れる可能性がある。
・接着しにくいため、被せ物が外れてしまう可能性がある。
銀歯に関するよくある質問
治療したはずの銀歯が痛み、銀歯を外してみると虫歯が進行していたというケースは少なくありません。
銀歯の傷や変形といった劣化は、虫歯を発症するリスクが高まるため、治療後も定期的なチェックが必要です。
ここでは、銀歯のトラブルに対するよくある疑問について解説します。
銀歯の下にある虫歯の見つけ方は?
銀歯の下の虫歯は、歯の表面を見てもわかりにくいです。
痛みやしみるといった症状がきっかけで歯科医院を受診し、発見されるケースがほとんどです。
銀歯の下の虫歯を見つける方法として、以下の3つが挙げられます。
- レントゲン撮影
- 拡大鏡の使用
- 銀歯を外す
まずはレントゲン撮影を行い、虫歯が疑われる場合は、拡大鏡を用いて銀歯周辺に虫歯がないか確認します。
銀歯と歯の間に隙間がある場合は、汚れや細菌がたまって虫歯を発症しているかもしれません。そのため、銀歯を外して虫歯が再発していないか確認します。
虫歯を確認できた場合は、治療を行います。
銀歯を外した後に臭いが発生する理由は?
以下の理由から、銀歯を外した後は臭いが発生することがあります。口臭を防ぐためにも、定期検診やクリーニングを受けるようにしましょう。
細菌の繁殖
歯に噛む力が加わることで銀歯が劣化し、銀歯と歯の間に隙間ができることがある。隙間に汚れや細菌が蓄積するため、臭いが発生する。
銀歯自体の臭い
銀歯から金属特有の臭いが発生することがある。
傷による臭い
銀歯は傷がつきやすいため、傷の中に細菌や汚れが付着することも臭いの原因になる。細菌は、歯磨きでは除去が難しい。
膿による臭い
銀歯の虫歯や歯周病が進行すると膿がたまることがあり、臭いが発生する。
まとめ
銀歯を外すこと自体にリスクはありません。
銀歯を長年放置することは、虫歯や歯周病のリスクが高まることや、歯茎が黒ずむことなどの多くのデメリットをもたらす可能性があります。
このようなリスクを避けるために、セラミック治療を検討するのもよいでしょう。
セラミック治療を受けた場合は、適切な口腔ケアと定期検診を継続し、できる限り長く美しい歯を維持しましょう。
銀歯の治療を検討されている方は、兵庫県宝塚市「宝塚南口駅」を出てすぐの「宝塚歯医者 矯正歯科・こども歯科 LDC宝塚南口駅前院」にお気軽にご相談ください。
当院のホームページもぜひご覧ください。